人工知能・AIとの正しい付き合い方
AIの可能性について様々なことが言われています。
AIが人間の仕事を奪う、ターミネーターのような世界が来るなどなど…
実際のところどうなのでしょうか。
AIをどのように考えればいいのでしょう。
今回は2冊の本をもとに考えていきます。
結論から言うと、「AIは過大評価も過小評価もするべきではない」です。
参考文献
人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)
- 作者: 松尾豊
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
- 発売日: 2015/03/11
- メディア: 単行本
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間違った認識?
AIについて、さまざまなことが述べられていますが、このなかには本当にすごいこと・実はそんなにすごくないことが混ざっています。
また、すでに実現したこと・もうすでに実現しそうなこと・実現しそうもないことも混ざっています。
すごいこと・実現していることや実現可能性を見極めることがAIについて正しく認識する第一歩になります。
人工知能の発達レベル
AIには発達レベルが4段階設定されています。
- 単純な制御プログラムを「人工知能」と称している場合
- 古典的な人工知能
- 機械学習を取り入れた人工知能
- ディープラーニングを取り入れた人工知能
上記のレベルで人工知能を評価することができます。
ひとつひとつ見ていきましょう。
Lv.1 単純な制御プログラムを「人工知能」と称している場合
レベル1の段階では、単純な制御プログラムであるにも関わらず、「人工知能」「AI」と名乗っています。
人工知能・AIを名乗ることで売り上げを伸ばそうというマーケティング的なものです。
Lv.2 古典的な人工知能
古典的な人工知能には、
- 将棋のプログラム
- 掃除ロボット
- 質問に答える人工知能
などがあります。
入力と出力の組み合わせの数が極端に多いことが特徴です。
LV.3 機械学習を取り入れた人工知能
機械学習とはデータから反復的に学習し、パターンや特徴を見つけ出します。
機械学習では、データを分析・学習し、予測や分類などの処理を行います。
LV.4 ディープラーニングを取り入れた人工知能
ディープラーニングは機械学習の具体的な手法の1つで、自動的にそのデータのパターンや特徴を見つけ出すことができます。
ディープラーニングを用いることで、従来の機械学習と比べて圧倒的な精度で分類作業できるようになるんです。
AI実現のための具体的な課題
これらのAIが発達して、人間社会に応用されたとしても解決しなければならない課題はたくさんあります。
AIの活用領域の代表例である「自動運転」で考えてみましょう。
自動運転でAIは運転手としての役割を果たします。
運転者である人間の操作情報・カメラやレーダーなどから得られる外界の情報・車速やアクセル、ブレーキといった車両情報、さらには地図などの情報を総合的に判断して車を動かしていきます。
これらの技術がすべて実現したとしても、まだ課題はあります。
具体的には以下の2つが考えられます。
- 法整備・道路などの社会基盤の整備
- トロッコ問題
順番に見ていきます。
法整備・道路などの社会基盤の整備
自動運転車が事故を起こしてしまった場合、誰が責任をとればいいのでしょうか。
運転者である人間でしょうか。自動車会社でしょうか。それともAIを開発した企業?
まず、事故を起こしてしまったときのための法整備が必要になります。
また、自動運転車を実現するためには、「人・車・道路」が三位一体となって取り組む必要があるといわれています。
自動運転車には、「道路情報」「地図情報」が不可欠だからです。
人や車だけでなく、道路の情報収集や道路整備も進めていかなければいけません。
現在では、自動運転車実現のための情報をまとめた「ダイナミクスマップ」の整備が進められています。
トロッコ問題
トロッコ問題とは、思考実験のひとつです。
【トロッコ問題】
制御不能になったトロッコが猛スピードで5人の作業員がいる線路に向かっているとします。
そこに分岐路を切り替えるレバーがあり、レバーを切り替えれば5人の命が助かりますが、その先には1人の作業員がいてこの作業員は助かりません。
さあどうする?
あなたならどうしますか?
5人の命が重要と考えますか?それとも自分でレバーを引いたことで1人が亡くなる方が嫌ですか?
この「トロッコ問題」のような状況が自動車を運転していると起こりえます。
人間でも回答が難しいこの問題をAIが解決しなければなりません。
このように、人工知能が活躍するだろう自動運転においてでさえも、解決すべき問題が山積しています。
現状に対する正しい認識を!
現在AIの可能性は未知数です。
いうなれば、宝くじのようなもの。
AIがうまく発達して社会に適応すれば、考えられないような進歩が未来に待っています。
しかし、ただのブームに過ぎないかもしれません。
例えば、発達段階がレベル1のような人工知能は、マイナスイオンや水素水と同じようなものです。
たとえ科学的根拠に基づいたものでなくても、人工知能・AIと書けば売れてしまうのです。
このように様々な人工知能についての情報が錯綜している現在において、大切なことは「人工知能の現状に対する正しい認識を持つこと」です。
人工知能を過大評価したり、過小評価したりするのではなく、正しい知識を集めていく姿勢が大切になります。
僕も勉強を続けていきます。
頑張りましょう。